願いを流れ星に込めて
□星三十一夜
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髪を結い上げて、千悠は夢中で空を蹴っていた。
離れたかった。
棗から。
そして、全身を駆け巡る嫌な感覚をふりほどきたかった。
『急げ!』と言わんばかりに…汗がでる。風が吹く。不安が…止まらない。
ドゴ…ン…
「!?」
「な…」
「何!?」
護送車が…
「爆破…っ!?」
そして…
「蜜柑!蛍ちゃん」
見つけた!
……
…
「あっ鳴海先生っ!みつかりましたーっっ!今井さんっ佐倉さんっっ!そして東海林さんも!」
ガタ…
「あんの3人は〜〜…」
「し…しかも場所が…っ
本部護送車事故付近…………………」
(なに−−−−っっ;)
「ったく…二人揃って…バカ!」
「…しょ…しょうがないやん。もしかしたら委員長のアリス取り戻せるかもしれんし…」
「バカ蜜柑…っ!そんな甘い考えで「千悠…ちょっと黙って…」
ガー…
無線をキャッチしている蛍ちゃん。
(…次々と様々なアリスを使用……侵入者2名に脱走…!?)
何が起こってるの…?
(3つ以上のアリスを持つ能力者なんてありえないわ)
「…蜜柑あたし達の計画は中止よ。立って」
「え」
「千悠も…今すぐここを立ち去るのよ」
「…わかった」
緊張した蛍ちゃんの顔。
さっきの爆破といい、何か起こってるのは間違いない。
「やっぱ何か変な事おこってんの…?」
不安そうな蜜柑の顔。
「私もよくわからないの。とにかくそれは後で話すから罰則は覚悟で学園の人間を見つけて今すぐ初等部へ連れて帰ってもらうのが得策…」
フ…ガサ
「……おいっ、こんな所に子供…?」
あ…こいつら…っ
「…」
「学園の生徒か…」
ドクン…
ドクン…
「急ぎましょう」
ドクン…
「今は逃げ切るのが先決です」
ドクン…
「……」
「…いいのか、おい。ガキといえどこのまま…」
「蛍――何してんのー!?はよ行こーやー」
「ちょっ…そんな大きな声出したら…」
!!!!!
「ばか…蜜柑っ」
「え」
「あ…」
ザッ
『――その女の人は他人のアリスを盗む能力の持ち主で――…』
その手が…蜜柑に…
「にげ…」
「いたぞ!」
「…っ」
武装した警備員。
「あ…」
チャッ…
「…っ」
容疑者が銃を構える。
その銃口は…蜜柑のすぐ後ろの警備員に。
ダンッ
「あぶな…」
ドタ…
フッ…
侵入者が消える。
「い…っ」
この声は…
ズル…
「蛍……?」
「蛍ちゃん…?」
私の不安は……
「いやぁぁぁっっ!」
…蛍ちゃんが…撃たれた。