願いを流れ星に込めて

□星三十一夜
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「……っ」

棗が野次馬をかき分けて外に行く。

「!」

「棗っ」

「棗!?」

後ろから瞬身の槙原先生が竹刀を持って怒ってきた!
他の生徒は逃げていく。のに棗は走って行ってしまう。

(待って…)

ズキ…

「…いっ…」

千悠は頭を抑えた。

(…いつもより強い痛み…。でも…Zをみすみす見逃すわけには…!)

『あの女とはZの…』

レオの言葉。
私にそっくりだという…

「走れ…私の足…」

苦虫を噛み潰した表情で千悠は体を動かす。

ひゅんっっっ
凄まじい風。

振り返って…

「!?」

ふよんふよん
そこにいたのは…

「蛍っ」

「蛍ちゃん?!」

フライングスワンに乗った彼女。地面にいる私たちを見定めながら…。

「今から委員長のアリス盗った奴らの顔見に行くつもりだけど、蜜柑あんたも行く?」

なーんて誘ったら。

「いくっ!!」

びよーんっ
カエルさながらの跳躍力を披露した蜜柑がフライングスワンの後ろに。

「…か、顔みにいくって…蛍ちゃんっっ!?外出禁止令でてるんだよ−−−っっ;」

フ…
蛍ちゃんが棗を嘲笑した。

「2人共ーっっ」

委員長が叫んでる。
副担なんて青ざめてる。

『お前全部…………−キライ…』

こしょこしょ
蜜柑が何を言ったか。
あっかんべの蛍といっの蜜柑は呆然状態のみんなをおいて上空にいってしまった。

「棗…」

「…何だよ」

「…蜜柑と…何かあったの?」

久しぶりの会話は素っ気ない。
そしてちょっとピリピリしてる。

「別に」

じゃあ、今の二人のアレは何?

「……」

嘘。何もないのに、いきなり2人の仲が悪くなるわけないじゃない。

「じゃあ…私が…私が任務から帰ってきた後、私に関わらないようにしてるのは?」

(…棗…)

「…んなことねーよ。…気のせいだろ」

ドクン…

(…嘘つかないで…)

目を合わせないで…。踵を返す。

「……私、蜜柑と蛍ちゃん探してくる……」

「えっ…千悠?!何言って…」

ごめん、ルカ。

ふわっっ

久々の大気のアリスを使って地面を蹴る。
アクセサリーは壊れる前に外してしまえ。

今は…頭痛より…心の方が痛い。

「東海林さんまでーっ!」

飛田君の2度目の叫び。

「千悠っ?!」

もう…聞こえない。

「…〜〜…」

棗がつぶやいた言葉なんて、聞こえない。
聞きたくない。


  
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