マリオネットとワルツを
□作品番号Op.7
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秋です。
秋といえば遠足、運動会、文化祭etc…学校行事に事欠きません☆
「でもアリス学園の生徒は学園敷地内から出てはいけないから遠足はないわよ(修学旅行もね)」
その代わりアリス本領発揮の文化祭・体育祭はとても盛り上がるアリス学園の2大イベントなのです!
というわけで、
「みなさん!もうすぐ文化祭シーズンがやってきますねー♡」
いえーーい!!
「はいはい、みんなー!!はしゃがない、はしゃがない。こらこらもー♡」
「うわ、キモ」
「あんたのその格好が一番はしゃいでると思うけど」
……心読み君、あなたなかなかイケる口ね。
クラスだけでなく先生方もはしゃいでる様子です。
「毎年4つの組に分かれてそれぞれの力を文化祭というフィールドで一丸となって競い合うわけですか、潜在能力系、技術系、体質系、特別能力系、1番来客数・売り上げの多かったクラスを優勝とし、トロフィーと賞金が与えられます♡4組がこぞって名誉を競い合うこともさることながら…まあ、賞金という人もいるでしょうが…「文化祭」という場を通してみんなで協力し合い励ましあいながら、普段交流のない人たちの一面をこの機会に知ったりすることでみんながよりいっそう多くの人と絆を深め合うことを望みます♡以上っ!!」
依然として騒ぎまくるクラスを抜け出した杏樹を追いかけて、透は外に出た。
(…さて、いつ行動を起こすのやら)
杏樹のことだから…多分必ず、蜜柑にある疑問を…晴らすために蜜柑のおじいさんの家に行くはず。
「どっちに行ったのかしら、あのバカ。…抜け出すときは私に助けを求めなさいって言おうとしたのに」
アイツに目を付けられても知らないよ?なんて思うけど、…あの方は男嫌いが激しいから許すかどうか。
(結局は、私はお気に入りで、気まぐれなのよね〜)
一人心中で笑っていると、たったった、と岬ちゃんが通り過ぎた。なにやら怪しい箱を持って。
「おいナル、ナルまてって!」
「あ、ホントだ。いた、バカ」
「まてっ、つってんだろコラ」
バコーーンッ、とメロン…にしてはぼよんぼよんとはねる、が杏樹の後頭部にクリーンヒットした。
(岬ちゃん、園芸部なのにコントロールいいナー)
「み…岬先生――っ!?いったー♡」
本当にいたいのなら語尾にハートをつけるな!
「……お前、本気で佐倉蜜柑の家族に会いに行くつもりなのか?」
「あ、やっぱり?」
「…先輩?いつから…」
「やだなー、さも今気づきました、見たいなかおしちゃって、……ずいぶんと前からいたけど?^^フフ」
「(ぞくっ…)」
「そのことがバレたら…お前自分の立場がどんなにヤバくなるかくらい…」
「分かってるよー♡でもこれは僕のためでもあるしね」
杏樹が帽子をかぶりなおした。
「…お前、まだあの人のこと…。佐倉蜜柑が「無効化」のアリスだからってまだあの人とつながりがあると決まったわけじゃないだろ」
「……いいや」
岬ちゃんの言葉を否定する。と、透に注目が集まった。
「…あの子は、確実。でも、コレを言ったところでアンタが行くのをやめるのも、手紙を渡さないのも考えられないから、気をつけて」
「…大丈夫、うまくやりますよ♡じゃ、岬先生、孜くん、くれぐれもこの件秘密によろしくね♡」
「「わかってる」」
この会話を、蛍ちゃんとるかぴょんが、茂みの中で聞いてるなんて、思いもよらなかったのはいうまでもないけど。
(…杏樹が名前を呼ばなかっただけ、疑問は薄まるかな?)
炬口孜と先生方の繋がりなんて、予測がつかないものだから。