願いを流れ星に込めて

□星十二夜
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が、それを許す棗ではない。セールスの人がやるように足をドアに挟ませて力に任せてドアノブを握る。

「あ・け・ろ(怒」

「…いやーっ!」

「なんでイヤなんだよっ!見舞いって顔ぐらいあわせるよな!?」

「わたしには甘いものだけで十分なのー!」

「なんでオレを避けるんだよっ!」

「それは思い込みっ!」

「うそつけっ!」

「だれがっ!」

こういう感じでしばらく均衡していた力も、病み上がりな上に女の子の千悠が根負けして…無事に棗は部屋に入ることができた。ただし、ぶっす〜とふくれていて顔もあわせようとしない。

「……なぁ…」

「………」

「…千悠…?」

「………」

イラッごんっっ

「な、何すんの…」

頭を叩かれた。痛くて顔を上げると…千悠の目の前に心配している棗の赤い瞳があった。

「どんだけ心配したと思ってんだよ、バーカ」

「……ごめん」

「体調は?」

スペシャルの大きなベッドの端に二人並んで座った。

「ほぼ回復。まだ頭痛があるけど、偏頭痛だし…」

「…ふーん」

(…なんか…棗が心配してくれるのって珍しいような…)

そう思うと、少し嬉しくなってふふふ、と笑ってしまった。

「何だよ」

「なんとなく、棗が優しいな〜って」

(………)




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