願いを流れ星に込めて
□星六夜
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「さて♡改めて、大方のみんなの期待を裏切って舞い戻ってきました」
「佐倉蜜柑、正真正銘のアリスです!」
次の日、蜜柑は鳴海先生に連れられてみんなの前に立った。北の森を攻略したのと、正真正銘のアリスだということにクラス内がざわめく。
大体のみんなが認めて心を開いてくれる中、正田スミレはじめ、棗とりまき軍団は打ち解けてくれない様子だが、そんなことを気にする蜜柑じゃなかった。
「……鳴海先生てB組の担任やったんや。てっきりそっちの先生が担任やと思てた」
「あれ?知らなかったっけ?僕いろいろ忙しいから彼にまかせっきりなんだよね♡」
黒いスーツの先生は副担任だそうで、ナルを離さないように泣きながら袖を掴んでいる。
「さてと、棗君と千悠ちゃんがまだ来てないみたいだね♡さぼりかチコクか…」
副担任先生だと悪戯ヤンチャばかりのクラスも、みんなフェロモンのえじきになるのはイヤなので表立って鳴海には逆らわず。
ガチャ…
重い足取りでよろけながら進んでくるのは黒猫の面をつけた棗。それを見て、またみんなざわつく。
棗は、というと…膝からは血が擦れた痕があり、腕や首に縄目がついていた。
「あの後捕まっちゃったわけだ?彼に…」
「るせえ」
果敢にスミレが話しかけようとするが、それは一蹴された。
「棗…」
「…心配すんな流架」
「…っ…千悠は?」
「まだ…あいつに…」
棗は仮面の下で唇を噛んでいた。
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