マリオネットとワルツを

□作品番号Op.18
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「あっっっ、ぶな――――――っっ!!!何すんのや!当たったら、この可愛いのばらちゃんまで消し炭やで!ちょっと自分の出力考えて撃ちぃな!!」

間一髪だった。

「…ん…」

「『のばら……任務だ』」

起きたか。孜の大絶叫を…さして気にすることなく、起き上がったのばらに命令を下すペルソナ。

「!…ちょっと…」

人差し置いて、なに可愛い子ちゃんと話してるん!?←そっちかよ。

「『棗を、倒してこい』」

ふら…。

(チィッ!…トランス状態って、このことやったんか…棗)

目が据わっているのばらちゃんは、ふらふらとしながらも棗と高等部生が残された廊下の方向に向かっていく。

「のばらちゃん!行ったらアカン」

「無駄だ。…あれは、私の合図で呼び出されるもう1つの人格。…お前の言葉など聞くわけがない」

……チッ。もう1つ舌打ちして、暗がりに消えていったお姫様を見送る。

「トランス状態にするなんて、よっぽどあの子も任務が嫌いなんでしょうねぇ…。……そうやって、イヤイヤな子を引っ張り込んで何が楽しいんや?」

「お前が私に何もいう気がないのなら、私がお前の質問に答える義務もない。ただ、お前に関しては強制だったがよく逃れたな」

「……」

「のばらが起きるまで。そういう取り決めだったからこの場はお開きだ。
……私の過去のこと、誰から聞いたのか、どうやって知ったかは分からなかったが、誰かに一言でも漏らそうものなら次は必ずお前を殺す。
…敵だというなら、これから対峙することになるだろうが、その時もお前を殺す」

無機質な白い仮面の下で、彼の闇色の瞳がどんな風に深く暗い色を放っているかは知らないが、…本当に今度対峙するようなことになったらよっぽどのことがない限り、死合いになってしまいそうだ。

「「……、……」」

無言が、静けさを作る。

「できれば今後、お前とは関わらないでいたいな」

「そう?俺は別にどっちでもいいけどね」

ふん、と鼻を鳴らす孜。…はたから見ても、経験値の差は歴然だった。

「…戻って突き当たりを左、もう一度左に行けば雪葵の寝所だ」

「…」

「そして、これが座敷牢の鍵…お前に渡す」

シャラ……かつて閉じ込められていた自分の部屋の鍵を持っているなんて。自虐か←

「……随分タッカイ口止め料を支払っていただいて」

「……ただし、この後何があっても、お前ら侵入者の身の安全は保障しない。…精々雪葵をつれてくたばれ。まぁ…雪葵がここに留まりたい、私の側に居たいと言うなら別だが」

「ふーん。葵ちゃんは完全に手なずけちゃってるのね。ま、こっちも迎え撃つ気満々だけどね!」

「……減らず口が…」

最後にそう捨て台詞を残して、ペルソナはのばらちゃんが行った方向に向かったのだった。

「……はぁ……」

残された透は盛大にため息をついた。

「危なかったわー…。もう一押しされてたらホンマに全面戦闘になってたかもしれん…」

そうなると、口八丁手八丁でやり込めたものの、ウエストバック(大量の武器)を置いてきてしまった透には大分不利な展開になっていたのである。

「……ああ、ここで和んでる場合とちゃうわ…。戦利品使うて葵ちゃんゲットせな…」





ヒタヒタ
…ガチャ…ガチャガチャ…ガチャピン←
カチャ…

「だ…誰…?」

キィ…

「蜜柑ちゃん?」

「え、蜜柑ちゃんに会ったの?マジでかー…。じゃあやっぱり侵入者ってのは蜜柑ちゃんたちだったんだ…。っていうかあのバカちゃん倒したんだ…」

きっと蛍ねーさんあたりだろうなぁ…(←大当たり)

「葵ちゃん、だよね?」

「(ビク)…誰ですか…?」

それと、私は雪葵です。と丁寧に訂正する葵ちゃんに苦笑した。

「ああ、怯えちゃった?ごめんね?」

なでなで、顔を撫でるとふにゃ…と葵ちゃんがこわばっていた顔を緩めた。

「(可愛いっ!)…えっと、とりあえずココ出よう?」

「え、でも…そんなことしたら仮面の君が…」

「ん。大丈夫、それはもう済んだ話。俺は葵ちゃんに目の治療させるためにやってきた者です(ウソッパチ)」

「じゃあ、…仮面の君が…」

「ん〜、まぁ…そういうことかな。葵ちゃん保護したし、とりあえず上に出ないと。俺と一緒にね」

「あ、はい…。あの、あなたのお名前は…?」

「ん?透…あ、ごめん。ちょっと待って、今のなし。孜。孜って呼んで」

今は。

(…初対面だからって思いっきり本来の姿での挨拶しそうになったよ、危ない)

「孜、さん…」

「蜜柑ちゃんたちが待ってるよ。もう1人、重要な人引きつれて上に出ようね」

「(よく分からないけど…)よろしくお願いします…」

この人なら、大丈夫な気がするから。
撫でられた手は…誰か、知っている手に似ていた気がする…。


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お母さんの手!
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