マリオネットとワルツを

□作品番号Op.13
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「透には今すぐ柚香たちに接触してもらい、生徒のアリスを返すよう説得してもらう。ついでにアジトに乗り込んでデータでもコピーしてこい」

「…ついでの方がめんどくさそうなのは、私の気のせいでしょーか」

「気のせいだな(しれっ)。アジトは潰してきてもかまわない。荷物になるから捕虜は要らない。後は、柚香と志貴と茶でもしてこい。久しぶりだろう」

「了解です、校長〜」

最後の一言に気の抜けた返事をした透は、またもや姫宮からの贈り物だ…という大人しめのパンツルックをぶかぶかしながら着て、首にかかっているネックレスのうちの一己の石を取った。
パァッ…

『時間操作』のアリスを解くと…久しく見ていない五十嵐透の姿に戻る。

「あ〜やっぱり、髪が長いのええわ〜」腰を超えて、膝まで行くか、といわんばかりのたっぷりした黒髪はウェーブがかかっている。
彼女の『マリオネットのアリス』を使用する際の原材料は彼女の長い髪であった。

「今回の任務は非公式だ。仮面はつけずに行きなさい」

「ん。連絡は?」

「彼女たちに会ったとき、アジトに潜入するとき、アジトから脱出したあと、でいい」

「3回ね」

「それと、『穴』を使って外に出なさい」

うげっ。
そこまですんなりことが進んでいたけれど、穴の話になると、透は明らかに嫌な顔をした。

「姫様の支援はないの?」

「……『正月以外に訪れる気がないなら、わらわの協力は薄れると思うが良い』との伝言があるが…。透の責任だな」

「んなあほな!!」

ある事情から穴を使うのに抵抗がある透はがっくりと肩を落としたのだった。

「帰ったらそっちのお茶にも行かないと…」

はぁああ。

「気をつけて、な」
「ん。行ってくる」

隠密行動にふさわしく、髪を束ね、サングラスをした透。
は、任務の前に…と孜の部屋に戻った。

「≪1402≫!」

キュィン…

「…お呼びでしょうか、五十嵐透様」

孜の部屋の人形置き場で丸くなって寝ていた1402が瞬間で起動する。

「…本当、いい子…。命令だよ」

「はい」

命令、の言葉に透のアリスストーンの瞳が、黒から赤に変わった。

「命令…これから先、私の指示があるまで『炬口孜』として生活すること。ちょっと任務が入ったから、多分2週間ぐらいで戻ると思うけど…『炬口孜』として違和感ない行動言動を頼む」

「かしこまりました。五十嵐透様。任務、お気をつけていってらっしゃいませ」

「ありがとな〜孜…。ああ、あと。一己に連絡するとき一回目…孜に頼んでもいい?ぜぇったい嫌がった顔すると思うから、その顔を写真に収めること。んで、一緒に写ること」

くくく、といたずらっ子の笑みを浮かべた透。

「?かしこまりました」

その笑みの意味がわからず困惑する孜。
そのピュアなところが彼のいや〜な顔に繋がる。

「以上!孜が人形だとばれないことは最優先事項だからね(一己を除く)!」

「わかっています。遵守いたしますから!」

にっこり。
1402を抱きしめた透は魔の高等部に向かった。


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