MOVIE
□流れ星
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「目を…閉じてごらん。」
レスタトがそんな事を言うときはロクなことが無い。と思いつつも、口で勝てる気がしないので大人しく言うとおりにする。
「そのまま、良いと言うまで開けてはいけないよ。」
「ん、分かった」
レスタトはそういうと、ワタシの手を取ってゆっくりと歩き始めた。
突然浮遊感に襲われて、ビックリして目を開けようとすると、
名前を呼ばれ「開けてはいけないよ」の忠告の言葉だけが聞こえた。
多分きっとレスタトに横抱きにされて階段を降りてるんだ。
そう思うと何だかちょっと、いや、とっても気恥ずかしかった。
館のドアが閉まる音がして、外の外気が肌に触れた。
「ねぇ、レスタト…どこに行く訳?」
「着いてからのお楽しみだよ、お姫様。」
何を聞いても無駄だと思って、それ以上何も聞かずにただレスタトに身を任せた(変な意味ではない)
それからちょっと行った所で、ワタシはやっとレスタトから解放された。
「さぁ、もう開けて良いよ」
ゆっくりと瞳をあけて辺りを見回すと、其処は小高い丘で、有るのは白いベンチのみだった。
「こんな所があるなんて…知らなかった……」
独り言のように呟けば、レスタトは「此方にどうぞ」と恭しくベンチまでエスコートしてくれた。
「こんなとこ、連れてきて何をするの?」
「此処で釣りでもすると思ったかい?……もう少しだ」
レスタトがゆっくり顔を上げたとの同時に、星空に光が一つ、流れて消えた。
それが合図だったかのように、他の星々も一斉に流れ始めた。
「流れ星?……りゅう、せ、い…ぐん?」
「あぁ、そうだよ。綺麗だろう…」
「えぇ、すごく」
レスタトがワタシをずっと見ていた事など、知る由もなくて、ワタシはずっと流れ星の無言の大合唱に見入っていた。
流れ星に願いを込めて、きみとずっといられますよにって。
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