短編
□【血液味の口づけを】
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「っ…!」
「痛いですか?先生。」
無理やり口付けて、唇を噛んでやった。
別に恨みなんてない。恨みどころか愛している。
口の中に血の味が広がった。
「先生の血、好きだよ?」
「っ…おやめ下さい。」
もう一度口付けた、傷口を舐めると血が広がった。
「先生、先生。これも愛情表現なんですよ。」
「私の知る愛はこんなにも痛いものではないはずですよ。」
紅を引いたように紅い唇に、興奮した。
冷静にすましたような顔を、歪ましてやりたい。
「でも好きなんだよ?先生。」
「嬉しいですね。痛いですけど。」
先生は、紅い口をぬぐった。
一瞬、痛がった表情が見えてズキンと胸が鳴った。
「先生、私の愛は歪んでるの?」
私が問いかけると、先生は笑った。
「愛されてるなって思いますよ。痛いのは嫌ですけど。」
「ねぇ先生?
―――――私に愛を教えてよ?
」
終わり