弐
□【手が届かない】
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―――――「ねぇ、先生?」
少女は虚ろな目で、言った。
「私は、一人ぼっち。」
…目の前には、土。
着物が汚れるのも気にせず、地面に横になって続ける。
「大好きな先生は、どこ?」
こぼれる涙が土に滲む。
淡々と呟きながら、少女は手を天に伸ばす。
「手、握り返してよ。先生。」
勿論、手は虚しく空を掻くだけ。
「ねぇ、先生。せんせぇ…。」
手が、届かないの。
終
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