血桜葉隠【大和魂】

□第六志 嫉妬と後悔そして出会い
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士桜は問う。

集団の男…『新八』といったか、男は口を開いた。

「永倉新八つぅんだ。人を助ける仕事をしてる。ついでにこいつは『原田左之助』。」

「おぅ。」

「でこの人が…。」

永倉が口を開いたときだった。

「なに勝手に紹介してんだ?」

永倉がびくりと震えた。

一人の男が鬼のような形相で睨みつけたかえらだった。
だがその男はその集団の中では、特別に目を引く美しい容姿をしていた。

「土方さん。やめてくださいよ。このお嬢さんが怖がってるでしょう?」

『土方』と呼ばれた美青年に並ぶほど、綺麗な顔をした若い少年が士桜に笑いかけていった。

「ごめんね。この鬼は『土方歳三』。僕は『沖田総司』。そしてこの人が、」

沖田が隣にいた無口な男に目を移した。

「『斉藤一』君ね。」

沖田が悪戯のように笑うと『鬼』が迫ってきた。

「総司!てめこらっ!なにべらべら話してくれるんだ?あ?」

時折混じる江戸弁で士桜は気づく。

「新…撰…組」

冷や汗が背を伝った。

新撰組の敵の攘夷志士であることがばれたら命が危ない。

士桜は静かに距離をとった。

すると斉藤が刀に手を添えた。

士桜は無理に笑顔をつくって言った。

「あっ。すいません。失礼します。」

今度は土方が腕をつかんだ。

「待て。放っておくのは気が引ける。どうした?泣いてただろーが。」

ぞくりとした。

「よっ!格好いい!色男!」

沖田が微笑んだ。

それがこの人達と士桜の出会いだった。

第七志 この手で
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