姫‐ヒメ‐
□三、 家出
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…どうしよう。
とっても、居心地悪い。
「あの…。」
立ち上がった振動で目の前の、湯呑の御茶が震える。
あ、茶柱。って……不幸なんですけど。私。
…これから幸せになれるのかな。
拝啓、父上・母上・友人・そのた各位
私はこの時代で…この場所で生きていける気がしません。
正式な時間はわからないけど、私がこの時代で目を覚まして3時間くらい。
空が若干オレンジ色だ。
きっと明日は晴れだ。
呑気な思考とは裏腹に、私の中は不安で仕方ない。
これは夢。何度言い聞かせてもこれは真実でしかない。
今も、ほら足が震えてる。
玉木さんは、あれからしゃべらない。
というより目の前にいない。
いまだ寝室に取り残された私は、御茶と3時間にらめっこだ。
といっても、お茶は今ちょうど飲んじゃったから湯呑と。
わかったことは玉露の苦さと、玉木さんがとんでもなく意地悪だということだ。
慣れない地での放置というのは辛い。
さみしい。
トリップして恋。
『神』が言うその乙女的展開はありえないってこと。
別にモテたいとか思っているわけじゃないけど、嫌われるよりは好かれたい。やっぱり。
でも玉木さんは私を好いてはくれなさそうだ。
というかあんな人に好かれるなんてこっちから御断り。
初対面…まぁ不法侵入は置いておいて、女の子を平気で扇子で叩くような人だ。
「はぁあ。」
何度目かのため息をつく。