姫‐ヒメ‐
□五、居候(後篇)
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私は現代で動物園に行ったりする。
それはおかしいことではないと、思う。
…客が来ないと、動物園の経営が成り立たないし、そういう施設だし。
ただ、今初めて思ったことがある。
…人にじろじろ見られるのって感じのいいものじゃないよね。
「…あ、あの…。」
柱の影から、この家のファミリーが私を見てる。
…私は、そんなに珍しいものだろうか…。
私が声をかけると、ファミリーはびくっと身体を震わせて、後ずさる。
…………。
いったい何なんですか?
私が眉をひそめると、なにやらファミリーはこそこそと話し合い始めた。
私より若干幼く見える子がお姉さんらしき女性に耳打ちする。
女性は、頷いて小声で青年(玄関で対応してくれた)に話しかける。
…聞こえない…。
すると青年は一度目を瞑ってから、父親らしき男性に耳打ちした。
「て、天女に話しかけろ、だと!?父には無理…」
「声が大きい!父上!」
あ、そういう会話ですか。
…一つ分かったことは、お父様が天然だってこと。
…お子さんたちが小声で話している意図を理解してあげて下さい…。
…ていうか、さっきから天女って…。
「あ、あの…。」
再び声をかけた時だった。