血桜葉隠【大和魂】
□第二志 泣ける場所
1ページ/3ページ
久坂玄瑞の死から3日ほど過ぎた頃だった。
「失礼いたします。」
「…士桜殿!」
士桜が同志達の前に姿を現すようになったのは。
「士桜殿…。御身体は…。」
攘夷運動に戻ることがない、と思っていた士桜が自ら達の前に現れたのだ。
同志達は驚きと喜びの声をあげた。
「私は大丈夫です。貴方がたこそ、大切な同志を失って悲しいでしょう。」
士桜が微笑んだ。
恐ろしいほど自然な笑顔だった。
「………どうかご無理をなさらぬよう。」
…………「失礼致し候。」
同日 酉刻 暮れ六つ時
「……高杉殿!」
同志達の元に現れた人物がいた。
『高杉 晋作』
松下村塾で玄瑞に並ぶほどの秀才で、双璧とも謳われた人物で、いまや攘夷運動の中心人物であり、久坂兄妹の親友でもある。
「高杉殿。なに故ここに?」
同志達は士桜が現れたときのように驚いていた。