SHORT
□海に沈んだ
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話は変わるけど、彼女が泣きそうになってる時があるのを、僕は知っているんだ。
出来れば僕が守ってあげたいんだけど、生憎彼女は誰かに頼るとか甘えてみるとかいう選択肢はないらしい。
話しかけてもいつも冷たくあしらうし、誰にでも無表情だし…。
正直近寄りがたい処があるんだ。
こんな感じに。
「越、顔色悪いけど大丈夫ですか?」
「…別にお前には何の関係ない。私は別に大丈夫だから早く引け。」
「いやでも…」
「いいから引け。」
「分かったよ。じゃあまた今度。」
「…」
何というか、…ちょっと怖い、かな…。
でも可愛い所もあるんだよ、風邪引いた時とか。
あと律義に自分から謝ってくれるとことか尊敬できるよね。
「泰、」
「何?」
「その、この前は・・・・・悪かった。」
「別に気にしてないよ。」
「…そうか」
「うん」
何はともあれ、僕は周りが分かるくらいというより、周りが思っている以上に彼女に溺愛してるみたい。
海の深くまで沈んでいくみたいに、どんどん。