SHORT

□お慕いしております
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敗戦国なんかに用は無い。そういうことだ。


「菊さん!菊さん!」


叫んでも叫んでも彼は振り向かずに歩いていく。
私を放って行ってしまった。
今まで会った人の中で、間違いなく彼が一番優しかったと思うの。貴方に護られていたあの時が、人生で一番幸せだったのよ。


「菊さん…。」


ねぇ、お慕いしています。

お慕いしてるんです。
好き、凄く大好きなの。

だから何も言わないでお別れなんてバッドエンドは嫌なの。
せめて嫌いでもいいから何かお別れの言葉でも言ってよ。




「私だけは貴方を見捨てたりしないし、ましてや嫌ったりなんかするものですか。」

「でも私は貴女が嫌いです。」

「はい、知ってます。用済みだし使えないって言うのも。」


それでも私は想い続ける。




「お慕いしています」、と。


 
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