SHORT

□閉鎖、鎖国。
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「と、言う訳で皆さん短い間でしたが有難う御座いました。」



日本は顔色一つ変えずにそう言うと、
目にもとまらぬ速さでドアを勢いよく開け、廊下を駆け抜けて行った。



「「日本!!」」



一足早く追いかけたのはイタリア、そしてドイツの二人だ。

その後中国の呼びかけで亜細亜が出動したのだが、中々どうして、彼は本当に速かった。


つくづく日本は自分を自分で押し殺す様な行動をするので、何百年も傍にいた中国さえも、彼の本当の身体能力は謎に包まれ続けていた。







やっと追いついたと思ったら居なかった。

日本は各国が来る前に、車で空港へと向かってしまったのである。

時すでに遅しとはこの事だ。



「ねぇ……何で日本はあんな事したの?俺達が何かしたから、嫌いになったから、なのかな…?」



イタリアはか細い声で言った。皆はただ沈黙するしかなかった。


何かしたのか自覚のない国だって相当いる筈だ。相手は人一倍場の空気をよんで他人に合わせる癖がある、あの日本だ。

真面目過ぎるので、心は繊細に違いない。故に何気ない一言で彼を傷つけたのでは、とイタリアは言いたかったのだ。



「恐らくそうでは無い。」



会場でも一言も話さなかったスイスが、突然皆に話した。



「鎖国というものは、我輩達国自身が、どの国が好きだの嫌いだのという安易な理由で出来る筈がないのである。第一国民が納得する筈がない。
確かに日本は自分の意見を言わないしいつも誰にだろうと『愛想笑い』だ。そう疑うのも仕方あるまい。」

「しかし、日本はそこまで姑息な輩などでは決してないと、我が輩は此処で宣言出来る。」

「日本は他の理由で鎖国すると言う道を選んだに違いない。だがその『他の理由』とは一体何なのかまでは、我が輩はさっぱり分からないである。」



スイスは次にこう述べた。



「誰にも相談せず、ずっと独りで抱え込んだ結果がこの始末、とも言えるだろう。








つまり―――」










この先はほとんどが予測できた、でもそれを言葉として言って欲しくない。



スイスが口を開くと、耳を塞いだ。



「我が輩たちはずっとそんな日本の心内状況を読み取ることもできなかった愚か者と言うことだ。日本はそれに絶望し、そして…世界を拒絶した。」



スイスの声は、頭を打たれたように何度も何度も繰り返し聞こえた。



「そんな…じゃあ」

「ああ、日本は恐らく…二度と開国し、他国と穏やかに話すなど、持ってのほかと言うことだ。」

「そんなのいやだよ!!!」

「お、落ち着けイタリア!」

「そしたらあの子みたいに、今度は日本が消えちゃう!俺…もう誰も失いたくないんだよ!!」



イタリアの叫びは、まるで今の世界の悲しみの様にずっと流れ込んで。




 
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