SHORT

□magic powder
2ページ/4ページ





私が玄関を開けると、彼は予想通りちょっと不機嫌そうな顔をして私をじとっと見つめました。


「遅かったじゃないか…」

今更ですが、彼は相当な寂しがり屋な様です。

前に10分程度離れた時があって、やはり彼は今の様に不機嫌になって「ずっと構わないとダメなんだぞ!」とか涙目で言ってましたし。
あれは国宝ものの価値があると思いました(主に子供の様に泣いているところが)


「本当にすみません。着替えていましたので…でも、私、貴方じゃなかったらもっとゆっくり歩いて軽い詫びの言葉も言わなかったと思いますよ?」

彼にそう言うと、みるみる嬉しそうに笑いました。
ああ、可愛らしい笑顔です。
今すぐにでもシャッターを切りたいのを抑えて、彼が抱きついてくるのを少しよろけながら受け止めました。

その様子は宛ら、主人が帰って来たのが嬉しくて堪らない大型犬とその感情を受け止める主人の様です。


「本当かい今のは!?」

私の胸辺りに顔を埋めながら嬉々とした声で尋ねてくる。


「はい、本当ですよ。私は貴方の事が大好きですから。」

「!俺も大大大好きなんだぞ菊!」

そう言って彼は私に更に抱き締めてきました。


「アルフレッドさん…」


「菊、ところで君俺の事大好きって言ったよね?」

今まで可愛い顔で笑っていた彼が途端にメガネを光らせて此方を見ました。

共同不審になりながらもちゃんと「、確かに言いました、よ?」と答えました。


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ