拍手お礼
井上+沖
「井上さーん!」
「おや、どうしたんだい?君が慌てるなんて珍しい。」
「ちょっと匿ってください!」
目を丸くする井上に向かって、沖田は言うやいなや襖の中に隠れてしまう。年不相応な沖田の行動に、井上は全てを理解した。
そして、鬼のような形相でやってくるであろう人物を出迎えるため、井上は穏やかな笑みを浮かべる。案の定、沖田の登場から少し遅れて、息を切らせた土方が勢いよく飛び込んできた。
「源さん!ここに総司の野郎がこなかったか!?」
ここまで必死な土方を見るのは久々である。また句集を取られたのだろう。
井上は完璧に気配を消して、後ろに隠れている沖田に内心溜息を吐くも、土方に暴露することはしなかった。
「総司なら、ここじゃすぐにばれると言ってあっちに走って行ったよ。」
「ちっ…!すまねぇ、源さん。邪魔したな。」
井上の答えを聞いた土方は、短く返事をすると井上の答えを待たずに廊下を走って行った。
土方がいなくなった部屋の中で、井上は後ろに隠れている沖田に声をかける。
「行ったよ。もう出てきたらどうだい?」
「ありがとうございます。おかげで助かりました。」
晴れやかな笑顔で言う沖田に、井上は苦笑を零す。彼の手に握られている冊子は間違いなく、土方の句集だろう。
「あまり彼を苛めないでやってくれよ。」
「苛めてませんよ。日頃運動不足な土方さんに協力してあげてるんですって。」
笑顔で言う沖田は実に晴れやかだ。その笑顔に井上は不思議と温かな気持ちになり、ついつい甘やかしたくなってしまう。
井上の傍で寛ぎながら句集を広げる沖田に、まるで息子を見守るようだと自分自身に苦笑を零した。
→井上さんと沖田さんの絡みも好き。