社長の恋☆成長日記
□戸惑い
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「お久しぶりです、父さん。仕事の方が忙しくてなかなか会いにくることができなくてすいません。でも、父さんのことを忘れることはありませんから・・・。」
十八年前、あなたが助けてくださったことを今でもふと思い出すことがあります。
たとえ血は繋がっていなくても、俺には父さんと呼ぶ人はあなただけです。あなたしかいません。
もちろん、母さんも。
「もう六年か・・・。早いものですね。」
父さんが亡くなってからの日々はとても辛かったです。今は少し、寂しさも和らいできましたが・・・。
「これからも、母さんと俺を見守っていてください。社長としてはまだまだ未熟ですが、父さんが頑張って作り上げた会社を、いつかは世界にも名が通るような大きな会社にしていきたいです。・・・あと何十年かかるか分かりませんが。」
すると、視界の端に遠くから誰かが走ってくるのが見えた。
「那宇さん、ここにいらしたのですか。そろそろ会議に間に合わなくなってしまいます。」
「え?・・・あ、そうだった。悪い、すぐ行くよ。」
「俺としたことが・・・。すいません、父さん。また時間が取れたとき・・・今度は母さんと一緒に来ます。それでは、失礼します。」
最後に一言あいさつをして、秘書が乗ってきた車に向かって走り出した。