短い夢
□君の声で私を殺して
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ひゅうと北風吹く夕方。私は夕飯の買い出しにレンと行った帰りである。もう、なんたってこんなに寒いのだろうと呟く。
「…そんなに寒い?」
「寒い!レンは寒くないの?」
あんまり、と答えるレンに尊敬の眼差しを送る。あんまりってすげぇなオイ。…ボーカロイドってあんまり寒さとか感じないのかな?夏は暑い暑いと連呼していたのに。
そんなことを考えていると手に暖かくも冷たくもない温度が伝わる。
「…あ」
レンの手だった。指と指を絡められる。…所謂、恋人繋ぎだ。
「…嫌?」
そう訊いてくるが、絶対嫌がってないことを分かっている。目が笑っているんだもん。
「嫌、じゃないけど、寒い。」
「…釵廩、」
「んー?」
「好き、好きだよ、釵廩」
「うん。……えっ!?」
レンが急に好きとか言うから吃驚してしまった。たぶん私の顔は間抜け面してるだろーなぁ……。
「だからー、好きだって、凄く好き」
それでも尚、はっきりと言ってくるレンに頬が赤く染まっていると思った。どうしたんだろうよりも嬉しいの方が勝っていた。
うぁぁ。…顔が、今レンに触れている手が、熱い。どうしようもなく恥ずかしくもある。今は冬?嘘だ!…熱いもん。
私が恥ずかしさに顔を俯かせていると、レンの笑い声が聞こえた。
「……何で笑うの、」
「だって、凄く顔赤いからさ、…可愛いよ?」
「…うるさい。レンのせいだもん」
「でももう寒くないでしょ?」
「……あ、」
確かに。寒くない。寒くない、けど。何か悔しい。……最悪、
「最悪。レンの馬鹿」
そう言ったら、繋いだ手をぐいっと引っ張られて、抱き締められた。抜け出そうと必死にもがいてたら、レンが耳元で囁く。
「今さっきの嘘。…世界で一番愛してる。だからずっと一緒にいてよ釵廩」
「…ん、私も」
あぁ、死にそうだ。
君の声で私を殺して
(私が死ぬときは)(君の声で)(私を殺して?)
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これは酷い
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