短い夢
□淡い気持ちは確かな確信へ
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貴方に名前を呼ばれると胸の高鳴りが抑えられないの。
貴方に触れられると、触れられた肌が熱くなる。
これは紛れもない、恋心――――…
「…ら、…釵廩!」
「…うー、?…かん、だ?」
名前を呼ばれるのと、肩がぐらぐらと揺れているので目を覚ますと目の前に神田がいた。あぁ、寝ていたんだ、と思った。そして、肩に手が触れているのを妙に意識してしまい、肩が熱を持った。
「ごめんなさい、いつの間にか寝ていたみたい。…どうかしたの?」
肩の熱を誤魔化そうとして、言葉を発した。けれど、神田が人と関わろうとするのは珍しいので、何かあったのかと心配してしまうのも本音。彼は一匹狼みたいなところがあるから。
「…いや、別に。…鍛練にでも誘おうかと思っただけだ」
「…そう。鍛練、付き合うわ」
教団内にある森に向かい、歩く。
――正直、嬉しいと思った。鍛練に誘ってくれるということは、少なからず私のことを認めてくれているということだから。
「…釵廩」
「何ー?」
「鍛練が終わったら飯、食いに行かねぇか?」
「!…えぇ、喜んで」
これは、心を開いてきてくれていると思っても良いのかしら?ねぇ、私は他の人よりも特別な存在?
あぁ、私って欲張りだ。神田が私と話してくれたら今度は、――特別な存在になりたいなんて。
「さて、と。やりましょうか」
「あぁ」
私のイノセンスは少し特別で、2つある。
その内の1つ、耳にあるピアスの片方を発動する。
「"神の創造物"発動!」
「六幻抜刀、発動!」
発動と同時にピアスが私の背中で、四の羽に形を変えた。私のお気に入りの武器その1。
「お先にどうぞ?」
「遠慮なんてしねぇからな。」
「勿論。」
その言葉を合図に神田が駆け出した。六幻が容赦なく振り下ろされる。――けれど、
カキィンッ
硬い羽で防御する。この羽は硬化する事ができるのだ。その間に他の羽で攻撃をする。しかし、ぎりぎり避けられた。
「危なかったわね?」
「ちっ」
「じゃあ次は此方から行くわ」
とん、
目の前まで一気に距離を縮め、
「!」
「これぐらいで驚いてたら……ダメね」
羽で攻撃をするように見せかけて、此方が見えないように視界をある程度塞いで背後に回る。
「っ、」
「チェックメイト」
神田が振り向いた時に首筋に刃の様に鋭い羽をあてる。
「……何でそんなに強いんだよ」
神田が六幻の発動を解いたのを見て、私のイノセンスも発動を解いた。そして、とりあえず今まで言っていなかったことを言ってみる。…気紛れで。
「え?だってこれでも私、元帥候補なのよ?…断っているけれど」
「は!?」
予想通り、かなり驚いている様だ。まぁ、無理もないよね。…私だったら驚かないと思うのだけど。
「っテメ、そんなこと聞いてねぇぞっ!」
そんな神田に、あっけらかんとして言った。
「だって、言ってないもの。」
にこりと笑ってやれば、はぁと溜め息をついた。どうやら私に言うのを諦めたらしい。そんな神田も好きだけれど。
「…行くぞ」
「…?」
何かあったっけ、と首を傾げていると言われた。
「食堂に行くっつったろーが。それぐらい覚えとけ、バカ。」
ぽんぽんと言葉とは逆に、優しい手つきで頭を撫でるから思わず笑ってしまった。
「…何笑ってんだよ」
「いいえ?ただ、神田は優しいなーって。」
「…釵廩だけだ」
どきっと心臓が跳ねる。…ねぇそれは、どういう意味?私が貴方を好きであるように、貴方も私のことを想っているととっても良いのかしら?
私だけ、なんて。まるで私の扱い方を分かっているみたいに。
今度、確かめ、たいな。けれど、それまでのもうちょっとの間はこのもどかしい関係のままで。
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長編みたいな話しだなぁと書きながら思った。
アレですね、設定を凝りすぎたからですね。自業自得ktkr。
しかし、D灰の長編はリボーンの長編が完結してからと決めておろうに…!
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