短い夢
□君と見た流れ星
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こつこつ、と足音が廊下に響く。昼間はそんなに響かないのに、否、響いても気にならないのに。…そんなことを頭に巡らせる。もっと任務のこととか、仲間のこととか考えないといけないのに、頭がそれを拒否する。考えたくない、と。こんなに星が綺麗に輝いている夜だけは、任務のこと、敵のことを忘れたかった。今日は七夕。此所はイタリアだからそんな行事は無いけれど。やはり日本人としては忘れ難かった。何となく、眠れなくて。いつぞやか、誰かが、言っていた。彦星と織姫はアルタイルとベガなんだと。……逢えたのだろうか、なんて下らないことを考える。逢えたにしても逢えなかったにしても地球には何も起こらない。せめて、この醜い争いの時代を終わらせて。それが、願い、何て柄にもなく願う。
「どうしたんだ?珍しいな。お前が夜に抜け出す何て。」
急に声をかけられ、吃驚したが、持ち前のポーカーフェイスで顔には出さなかった。どうやら考え事をしていたのが原因でGの気配を感じられなかった。
「…別に、」
任務でもないのに、夜部屋から出る事自体珍しいのに何でも無い訳無い。しかし、Gは気を使ってなのか、それ以上深く訊いてこなかった。
「そうか。…どっか行くのか?」
「えぇ。外に星を見に、ね。」
「…俺も、行っていいか?」
「?………好きにすれば良い。」
何を思ったのか、着いてくるという。けれど、いい話し相手になってくれるだろうと思い、許した。Gは深く訊いてこない、でもちゃんと聞いてくれるから話し相手には一番いい相手だ。ボスでも良いのだが、…空気を読む時と読まない時の差が激しいので、遠慮したい。まぁ、逆にそれに助けられる時もあるが。ランポウは多分役に立たないだろうし、ナックルは……正直苦手だ。あのテンションの高さには着いていけない。スペードは、何を考えているか分からない時がある。しかし、的確なアドバイスをくれる。的確過ぎて何でもわかられてしまうような嫌悪と恐怖の入り交じったモノを感じる。それに比べてアラウディは、Gと同じ様に聞いてくれる……が、あいつは見返りを求めるから却下。大半は闘って欲しい、だ。戦闘マニアも大概にしてほしい。それに、一番の理由は、Gに好意を寄せているからだ。…そんなことを改めて思うと、少し羞恥に襲われる。ちらり、後ろからGを横目で見やると、
ぱちり、
目が、合ってしまった。
「っ、…此方を見るな。」
「は?…お前、俺に後ろ向きで着いてこいと言ってんのか?……っつか、お前が此方みるからだろーがよ。お前がそうやって前見てりゃ良い話しだろ。」
「……」
Gの正論に反論反論出来なかった。なので、沈黙することにした。
「……」
「……」
暫く沈黙が続いていると、やっと広すぎる屋敷からでられ、自分のお気に入りの裏庭へ着いた。
「…やっぱり、星、綺麗。…流れ星…!」
「あ゛?…あぁ、そうだな。…って、もしかして本当にそのために此処に来たのか?」
こくり、
頷くとはぁ、とGに溜め息をつかれた。どうやら、星を見るためとは嘘だと思っていた様だ。下らない、とでも思っているのだろうか。
「溜め息つかれても、困る。」
「っ、俺はお前が心配で着いて来てやったんだよっ!」
「心配…?」
意外な理由に驚く。私が心配で着いて来てくれたのは嬉しいが、何故心配したのかが解らなかった。別に、任務で怪我をしたわけでもないのだから。すると、またもや意外だった。
「…っち。だからっ!お前がまたっ、何か、溜め込んでんじゃねぇかって……。」
「……!」
段々としりすぼみしていくGの言葉を聞きながら、早とちりしたGが少し可笑しくて、
くすり、
笑い声を上げると、Gは吃驚したような顔で此方を見てきたので、声をかけた。
「……どうしたんだ?」
すると、Gは少し顔を赤くしてぷい、と顔を反らした。その反応に少し腹が立ち、顔を覗き込むと、また反らしながら言った。
「お前が珍しく笑うからだ、バーカ。」
その言葉の意図が分からなくて、訊いた。…笑ったらまずかったのだろうか。
「?…つまり、どういう意味だ?」
すると、Gは顔を赤くさせて叫んだ(勿論夜中な訳だから配慮した声で)
「ばっ、…分かれよ!アホかお前は!」
「馬鹿なのか阿呆なのかどちらかにしてくれないか?」
「どうでも良いだろーが!」
あーとかくそっとか言いながら、頭を掻き回したGは結局、
「…その、可愛いってことだ、」
と言って、私の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。たぶん、照れ隠しだと思う。
「…え?…いや、その、ありがとう…」
でも、撫でてくれて良かったと思う。…だって私もきっとGに負けないくらい真っ赤になっていたと、思うから。
君と見た流れ星
(星は少ししか見れなかったけど)(君の気持ちが少し分かったから)(そんなの、どうでも良いの)
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流れ星にふれたのは、ほんの1コマだけっていう←
かなり長ったらしい文章で疲れた方へ、スミマセンでしたf(^^;