短い夢
□きっとそれが全て
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「ねぇっ!雪っ、雪が降ってる!!」
そう言って可愛らしく駆けて来た釵廩の手をとり、外へと出る。
「寒いですね……。大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。有難う骸。」
アジトから出て、肌を外気に晒せば段々と冷えていく体。けれど、心が暖かいのはきっと隣に君がいるからなのだ、と柄にもないことを思ってしまう。
「クリスマス、か。雪が降ってるからホワイトクリスマスになるんだっけ?…どっちにしても、何か、わくわくするなー。」
「……やはり、女性というのはクリスマスに憧れるもの何ですか?」
「多分。……っていうか、恋人とか家族とか、自分が大切に思っている人と過ごせるからじゃないかな?」
釵廩の言葉を聞きながら、クリスマスプレゼント等を贈った方が良かったのか気になったが、釵廩がいらない、と言い張っていたのを思いだし、止めた。
「その点に関しては私は幸せものだよね。」
「どういう意味ですか?」
釵廩の言いたいことが分からなくて、聞いてみる。すると、思いがけない言葉が返ってきた。
「だって、骸が側に居てくれるから。それだけで十分だよ。――どーせ骸のことだから、何か用意した方が良かったんじゃないか、って思ってたでしょ?」
「!?……何で、」
「だって骸のことだから。」
そう言ってにこり、と純粋な笑顔を向けてくる。
「……クフフ。君には敵いません。」
と言って抱き寄せた。そしてまた、小さく笑う釵廩が本当に愛しくて、額、瞼、鼻、頬、そして唇 とキスの雨を降らして最後に、
「メリークリスマス、釵廩。僕は必ずしも君を安心させられる、とは約束出来ません。ですが、全てが終わったら君と生きていきたいんです。……ですから、ずっと僕の側にいてくれませんか……?愛してます、釵廩。君だけが僕のすべてです。」
「う、ん///メリークリスマス、骸。私も骸がすべてだよ。骸が居てくれれば他に何もいらないもん。愛して、る…///」
「っ、クフフ……ありがとうございます。」
きっとそれが全て
(君と今生きていること)(想い合っていること)(それが全てなのでしょう)(だから)(ずっと側に居て?)
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