短い夢

□繋いだ手の温度
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クリスマス。それはイエス・キリストの誕生日、と誰かに聞いたような気がするが、別に私はキリスト教派ではないで、知ったことじゃない。

「だってそうでしょ?」

「何が?」

今は冬休みで、しかも24日。明日がクリスマス(イブは今日だったよね?)だ。丁度幼なじみのツナとこうして暇を持て余しているのだが、クリスマスの話をしていた(因みに泊まり掛け)あと30分したら25日。

「キリスト教のことよ。“人は皆平等”だーとかなんとか言ってさ。結局はあれ、自分のエゴなのよ。そうであって欲しいと願っているからこそそう信じているだけなの。人は平等になることは出来ないのに。」

「そう、なのかな……。」

「私に言わせてみればね。」

「でも、さ。」

「う?」

「オレもそうであって欲しい、って思う。例え其れがエゴだとしても。」

「……、そうだね。自分を犠牲にしてまで信じ続けるのはとても難しいことだからね。それ故に、凄い人だとも思うわ。」

「うん。……釵廩は、クリスマス何がしたい?」

「んー、…何も。」

「だったらさ、」

何だろうと思いながらも腕時計を見ると、あと15分でクリスマス。今年も何もせずに終わるのかな、という考えが頭を掠めていったが、まぁいっか。と流した。

「オレに付き合ってくれる?」

は?と驚いたが、すぐにうん、と返事をした。

「ありがとう。じゃあ、行こっか。」

「え、ちょっ、ツナっ?」

私の腕をつかみ、そっと家を出た。外はしん、としていて、なんだか二人だけしか生きていないような幻想的な錯覚を覚える。

「なんだか二人だけしか生きていない世界みたい。」

「そうだね。……でも、」

「うん、」

「端から見たら、駆け落ちにも見えるかも。」

「……、洒落になんないわね。」

そう言いながらも、いつの間にか繋がれている手の温もりに、クリスマスも悪くないわね、と心の中で呟いた。(そして、ツナとなら駆け落ちしてもいい、と思ったのはツナには永久の秘密だ、)


繋いだ手の温度
(それはきっと)(私が君を想っているのと)(同じ温度なのよ)(貴方も想ってくれていますか?)







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