短い夢
□君に熱中症
2ページ/2ページ
ある国でのお話。
ホテルにて。
キノと釵廩はホテルのベッドに寝そべり、だらけていた。今の季節は夏。クーラーもつけたばかりでひんやりともしていなかった。
「暑い……」
そんな中、キノが呟いた。
『だいぶ本格的に暑くなってきたね……。川で泳ぎたい気分だよぅ』
それに釵廩も便乗して呟いた。……そんな二人を見て、エルメスがなだめた。
「もうちょっとしたらクーラーで涼しくなるんだからそれまでの我慢だよ、二人共」
「あぁ……」
けれども、あまり効果はなかった。二人は変わらずベッドの上でだらだらとうなだれている。
不意に、暑さに平気そうなモトラド達に釵廩が言った。
『……いいよね、ピュシス達は。暑さとか平気そうだし』
「そうですか?……まぁ、平気ですけど」
羨ましい、と思いつつ何か冷たいものはないか、と頭の中で巡らせる。冷たいものといえば冷凍庫や冷蔵庫、だ。
そして、
『……あ、氷ー氷ー。冷凍庫の、中、に……あったー!……もごもご』
冷凍庫の中にあった氷を口に含んだ。ひやりと冷たさが口を伝う。まぁまぁ、ましになったなぁ。……そんな釵廩を見ていたキノが言葉を発した。
「氷なんて食べて美味しい?」
『んーん。けど、冷たいから』
「そう……」
釵廩は、キノも欲しいのかな、と思い訊いた。
『食べる?』
「いや、いい。……けど、ちょっと」
キノが手招きをする。
それに習ってキノに近寄った。
『?どうしたの……って、んっ、』
ぐい、とキノに腕を引っ張られ、キノに覆い被さるように倒れ込む。
ちゅ、とキノの唇と自分のそれが、重なる。
「ん……冷たい」
『そりゃあね。氷食べてるもん。でも、ひんやりしてて、気持ち良いでしょ?』
お互いに顔が近いまま言葉を交わす。
「うん、」
そうして、また唇を重ねた。重なる度に、深くなっていく。
『う、んっ、……はっ、ふぁ、………き、のぉ、』
「…ん、…はぁ、ふ、」
氷は融け、いつの間にか体勢が逆転していて、今度はキノが釵廩に覆い被さるようになっていた。……そして、唇の温度が夏の暑さに比例していくように、じんわりと、熱くなっていく。キスで頭がぼぉ、として、お互いの熱に酔っていく。それはまるで、熱中症のように。
**
モトラドさん達が途中から空気な件についてww
.