繋がるブック1

□もどっかしいなぁ!
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「ねぇ、ノート貸して」


「え、なんで俺」


恐ろしい睡魔が襲ってくる最後の授業

無事乗り越えてRHが始まるまでの間、眠ろうと思っていたのに

             
「ちづは期待してないし、爽子は取られてるし」


指で指した方向を見ると楽しそうに話す、例の2人が


「で、それなりに仲の良いアンタに」


「…俺、矢野に嫌われてると思ってた」


「話すまでは嫌いだった」


まぁ、過去形なだけ…マシ…な、ハズ


「いや、まあいいけども」

「どもー」


「…ここでやんの?」

 
「邪魔だった?」


「寝ようかと」

「寝かせない」


ちょ、なにそれ
             
 
「…てかなにあんた、男子のクセに字綺麗とか」

「別に意識してないし」


「あーあー無意識とか尚更」


目の前の男子の席に座ってさらさらとノートを写していく


…矢野も綺麗な字してんじゃん


「………」

            
「…なに」


「いや、爪すげぇなと」


特にすることもなく、目に入ったのは矢野の爪

       

「女ってそーいうの好きだよねぇ、よくやるわ」


「…あんたなんか先輩に人気あるからやられたことあるんじゃないの」


「……はは、2回ほど」

 
「うわ同情」


「してないだろ」


うん。そう言って矢野は笑った。うわなにそれ超傷つく
ストレートな矢野の攻撃にダメージを受けて机の隅に頭を乗せていると不意に頭に重みがかかった



「今度さ、」


「あ?」



少し悩んだあと、これまでにないくらい口に三日月を浮かべて、



――あたしがアンタで遊んであげるよ
           

…う、あ、ちょっと……!
 
(あれー?なんでこいつ矢野ちんいるのに寝てんの?)(…勝った……!)(矢野ちん?) ((……負け、た))
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