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□ちっぽけな未来に跳び蹴り
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「図書館に吉田がいるなんて……明日は雪か…」


「失礼な!あたしだって図書室ぐらい来るわっ!」


「はーい、図書室では静かにしてくださいねー」


「いっちょまえに図書委員ヅラするなよ普段んなことないくせにー…!」



この前借りた本を返しに来れば何やらごそごそした音がして
図書委員が言うのもなんだけどここに人が来るなんてめずらしい…と顔を覗かせてみればいたのはこんなところにいるはずのない吉田


「あんたここよく来るの?」


「うんまぁ。委員なのもあるけど静かで人少なくて結構好き」


「へぇー…」


「そうだ。こっから野球部見れるよ」


「マジだ!うわーみんな暑そ」



近くの窓から校庭を眺めれば安易に見れる野球部の姿
野球部がいるってことは必然的に龍の姿も見れるってことで

普段動かない分ここで見る龍はまるで別人だ



「おー、龍がんばってんね」


「毎日大変だよなー。部活後とかクタクタだろ」


「でも家帰った後でもあたしと遊んでくれるよ?」


「いや、それはさぁ…」


気づけよ鈍感っ子め……!
言葉を濁した俺を覗き込むように吉田は頭に疑問符を浮かべる


「……吉田さ」


「んー?」


「龍の好きな人って知ってる?」


「え、何アイツ好きなヤツいんの!?」


「いやわからんて。だから聞いてんの」


自然と野球部が見える位置に二人で椅子を持って行きぐだぐだと雑談を始める
よくよく考えると男女間での恋話(しかも吉田と)なんてなんだかゾっとした


「…あんたさー、もし、もし今も元気だったら野球続けてた?」


「……どーだろな。元気だったらなんてわかんないよ。今も元気なのには変わりないし」


「そっか」


なんなら元気な証拠に今から吉田に喧嘩勝ってやろうか?と冗談まじりに言うとうっさい!と頭を叩かれた



「で?なんでいきなりそんなこと?」


「いやぁさ。あたしあんたが投げてる所とかちゃんと見たことないし、龍とバッテリー組んでたんでしょ?だったらなんか面白そうだなぁって」


「…まぁ確かに面白かったよ。…すっげー楽しかった」


「今度、二人で組んでるところ見せてよね」


「…おう」


にかっと笑って吉田は拳を突き出してきて、

その拳に向かって俺はコツンと自分の拳をぶつけた





ちっぽけな未来に跳び蹴り
(でももう、丸刈りはいーかなぁ)(あははっ!そこかよっ!)




お題配布元:Alstroemeria





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