I.cブック
□糖度足りてます
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「いらっしゃい」
「おじゃましまーす…」
少し、いつもより固い気がする目の前の彼女に苦笑すると、笑うな、とでも言うような目でじろりと見られた
「大丈夫だよ。今、母さん出かけてるし…彼女来るって言ったら夕ご飯の材料買ってくる!ってすっ飛んでった」
「お父さんは?」
「買い物についてった」
「…そっか」
ホッと息を吐く矢野はやっぱり緊張していたらしい。かーわいーい
すると、そうだ。と何か思い出したらしい矢野はずい、と持っていた紙袋を差し出してきた
「4人分、あるから」
「へ?」
「ケーキ、4人分あるから。後で食べるわよ」
「…へへ、わざわざありがと」
「…でさ、いつまで玄関にいるの?」
「俺の部屋でいい?」
どこでも、という矢野の腕を引っ張って部屋まで連れて行く
そういえば、家に連れてきたのは2回目だ。一回風邪引いたとき来たよな確か
「クローゼット開けていい?」
「いーよ、好きなだけ掃除してください」
「じゃあ遠慮なく」
そう言うと同時に服という服を漁りだす
俺はというと特にすることもないので雑誌を読んだり、飲み物持ってきたり、矢野の質問に答えたり
すると矢野が一枚のロンTを自分の目の前で広げて見ている。…何やってんだ?
「どーしたの?」
「いや…名無し、このロンT、丁度いいサイズ?」
「うん。それは丁度ぴったりぐらいだよ。……それがどーした?」
「改めて、背、高いなって思っただけ」
「…前の彼氏は俺より背ぇ低かった?」
「そーね、あんたのほうがでかい」
「俺も別にすっげーでかいわけじゃないけどね」
「それだけあれば充分でしょ」
少しむぅっとした顔でこっちを睨む彼女にこっちおいで、と呼びかけてみた
ちょっと身構えたものの、大人しく座っているベットのところまで来てくれて、
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