I.cブック

□終わらないであと7分
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「あと15分弱しかないぞ」

「げ、本当だどうするー?」

「うーん。俺は何処行っても構わんけど」

「ふっふっふ。じゃああれ行きたいなあたし」

「え?なになにど、こ…」


隣で楽しそうに指を指したのはいくつか先にあるお化け屋敷
頭に矢が突き刺さっている生徒が。あれどーやってんのかな


「よーし。行くか吉田。龍、左側押さえといてな」

「ぎゃーいや、ちょっと待ってよ名無し!あたし、あたし…!」

「諦めなーちづ」

「やのちんのばかー!鬼畜!どえすっ!」


ふぎゃーと叫ぶ吉田の口を龍があいていた手で塞いでずいずいと先へ進む


「最大人数3人までだって、どうする?」

「!じゃあ、あたしが1人で待って…」

「おー、じゃあ吉田だけ先1人いくか」

「うえぇ!?なんでそうなるっ!?」

「ほら行くぞちづる」

「うあー…りゅうーりゅうー」

「行ってらっしゃーい」


ひらひらと半泣き状態の吉田の手をちゃっかり取って龍は暗闇の教室中へ入っていった。……やるな龍
おおう、吉田の叫び声が


「教室ん中入ったら手ぇ繋ぐかんね」

「別に今繋いでも大して差はないと思うけど」

「…じゃ、喜んでお繋ぎしますよ」


握った掌は思っていたよりも小さかった
担当の生徒に促され教室の中へ入るとそこは以外と道が狭い


「せっま…」

「まー仕方ないっしょ教室だし。…こわい?」

「全然」

「ちぇー…、……そうだ、あのさ」

「なに?」

「これから、教室戻るとき…変な男に絡まれんな、よ」

「…心配してくれんの?」

「あたりまえだっつの。なんたって大事な彼女」


んなこと言ってるけど正直付き合いだしてまだ数日しか経っていない。んなもん知るか


「大丈夫。ちづもいるし…それに」

「それに?」

「大事な彼氏いるし」


そう言って照れるんじゃなくてにやりと妖しい笑みを浮かべて顔を覗いてくる矢野にこっちが恥ずかしくなる
あー、くっそ。同じような台詞言ってやったのに






終わらないであと7分
(やのちんと名無し遅いよー…死んでんのかなぁー…)(それはねーだろ)(えー!?あたし死にそうだったよ!)




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