I.cブック
□妊娠なされている方心臓の…うんぬん
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教室もとい、黒魔術カフェを龍と一緒に出て少し先の待ち合わせ場所までゆったりと歩く
「お待たせ」
「おそいよ!龍ー…名無しー…」
「えー、だって龍も待ってたから…」
「いーから早く行こうちづ。時間少ししかないんだから」
「ほら行くよー龍」
「おー腹減った」
もちろん二人っきりで回れるなんて期待は微塵もしていなかったさ。みんなにはまだ俺らが付き合っていることは言っていなかったし、仕方ない
「何時から戻んの二人は」
「んー?あたしら?あたしらは確か…3時半?」
「…あと30分か。俺らなんも食ってないんだよなぁ」
「あ!じゃーあそこの店入りたい」
「ちづはもう食べたでしょーが」
えーいいじゃんぶーぶーと前で騒ぐ吉田のテンションはものすごく高いすごくすごく…んでもってどんだけ食う気なんだこいつは
それに比べてなにこの龍のテンションの低さ
「りゅ、龍?腹減ってるからそんなにテンション低いの?」
「そーな…」
「名無し、あそこだったらいいんじゃない?」
そう言って矢野が指した場所は手作りカレー店。手作りの看板と不恰好な文字が胡散臭さを醸し出している
「俺は別に構わないけど…一番食うの龍だし」
「食えりゃなんでもいーよ」
「じゃあ決定!」
――…
「なにあれなにあれ!?超辛かったんだけど!?んでもって平然とした顔で食べてた龍と名無しがわからない!」
「あたし食べなくてよかったわー…」
「別にあんぐらいは大丈夫だろ」
「少し辛かったけど、うまい方じゃね?高校レベルにしては」
「なんなのあんたら!?“少し”ですませられるレベルじゃないから!」
見ろよこれを!と、この文化祭のパンフレットのある一部を指で示され、仕方なくそこを龍と二人で見る
うん、俺視力悪くなったのかなぁ
「あれ?眼鏡汚く…」
「なってないから。どう見てもここ10倍って書いてあるから」
「えー」
俺(と龍)の味覚は本当に少しおかしいのかもしれない
「まぁ、俺ほら?辛党だから…」
一般カレーの辛さよりなんと10倍!妊娠なされている方心臓の…うんぬん
(俺としては辛い辛いって言いつつも全部食った吉田がすごいと思う)
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