魔法

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パチパチ、と静かな火の音


薄っすらと灯るあかり


ここにあるすべてのものが私の意識を遠ざける。
本当は部屋に戻ってちゃんとやわらかいベットで眠らなくちゃいけないのに。
座り心地のよいソファにもたれて、途切れ途切れになる意識を手放そうとしたとき、

体にあたたかい何かがかかる。

でも体を動かすことも、目を開けることさえも億劫で、私はそのまま意識を手放した。




01





「名無しー?おら、起きろ」

聞き覚えがある声がする、と思ったら額に強い衝撃。

「あ…?シ、リウス…?おはよ、」

「おう、おはよう。お前なんでこんなとこで寝てんの?風邪引くぞ」

「んー、確かに寒いかも」

「ほれ起きろ、もうすぐ皆起きるから」

「……なんでシリウスこんなに起きるの早いの?雪が降っちゃうよ」

「失礼だな、ったく。俺だってたまにははやく起きるっつの……起こしてやったんだからありがたく思えよ?すっげー顔してたんだからな」

そう言ってニヤニヤとしていたかと思うと、私を見て不思議そうな顔をする。
どんな顔してても綺麗な顔してるなむかつく!

「?どーしたのシリウス」

「名無し、なんでコート2枚あんの?」

「へ?あ、ほんとだ。うわ、結構大きいし」

「誰の?裏、名前書いてあんだろ」

「えーと………はい」

「俺が見るのかよ。えーと、……なんだムーニーか」

「ムーニー?」

「あー…俺のともだ、…いいや、話すのめんどくさい。俺が渡しとくから名無しは着替えて来いよ」

ポンポンと頭を叩いて、シリウスは私を部屋の方向へ押した。
なんだかそのムーニーさんとシリウスは友達らしいし、シリウスに任せていっか。

お礼はまた今度、シリウスがいるとお節介を焼かされそうだから、自力で探し出そう。
シリウスは世話焼きだからね!




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