『私と世界と女神さま』

□『終わりの、始まり――』
1ページ/2ページ

今から約20年前・・・、多くの魂がこのエリンに召喚された。
すぐに転生する者、一時の休息をとる者、1つ1つ流れは様々であった。
けれどもその者たちに対して紡がれる名は皆同じ・・・、『ミレシアン』と・・・・・。
今、このエリンの運命は彼等・・・彼女等の手の中に在るのだ――――――。




     『終わりの、始まり―――。』


ザァァァ―――――。
あれは、雨の降る薄暗い日の事だった・・・。
1年前から病に倒れていた父母が、突然体調を崩し、今まさにその命の灯火を消そうとしていた時だった。
苦しむ父母の横でヒーラーと共に祈り、見守る事しか出来ない私に、母が小さく囁いた言葉・・・。
『シャルル、良くお聞きなさい。お前を生んだのは私です。けれど、その魂の母は・・・私ではありません。
あぁ、最後まで貴女を支えて居たかった。貴女はミレシアンなのですよ。だからどうか、私達が死んでも悲しまないで・・・。
この世界を、私達が愛したこの世界を守って頂戴。あぁシャルル、貴女を愛しているわ―――――。』
それだけを言い残し、父母は安らかなる永遠の眠りに就いた。
私は12歳にして父も母も失ってしまったのだ。
私が2人の子では無い?、魂の母?。
公爵家の令嬢として育った私には知識が余りにも少なすぎた。
次の日には葬式も執り行い、私の引き取り手が決まるのを待つばかりだった・・・。
けれど、集まった親戚達の目当ては遺産であり、私は遺産に付いて来る邪魔な虫と見下していた。
其れからというもの、部屋の隅にうずくまり声を殺して泣く日々が続いた。
しかし、探しても探しても出てこない父母の遺産に痺れを切らし、親戚達は皆屋敷を出て行った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ