ガンダム戦隊SEEDレンジャー!
□いつかの約束
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「──はぁ…」
会議が終わると、辺りはすっかり暗くなっていて、彼女は大きな溜息をついた。
彼女はプラントシティの行政を司る評議会の議員という立場にある。
望んで得た立場ではあるが、時折憂鬱になる。
甘えたい盛りの息子を、充分に甘えさせてあげる事も出来ない自分に苛立ちを感じながら、それでも仕事を辞める気にもなれない。
年の割に大人びた、物分かりの良過ぎる子になったのは、そうならざるを得ないよう、自分が仕向けてしまったのかと、自己嫌悪に陥る事もしばしばだった。
「思い切って休暇でも申請してみようかしら…」
そんな事をぼやきながら、歩いていたものだから、タクシー乗り場を通り過ぎてしまっていた。
「あ…」
戻ろうかと、立ち止まって来た道を振り返るが、すぐに前に向き直った。
別に歩いて帰れない距離ではない。
(たまには歩くのもいいでしょ)
いつもはタクシーであっという間に通り過ぎてしまうから、あまり思う事もなかったけれど──懐かしい風景に、彼女は目を細めた。
この道は、学生時代に親友と歩いた道なのだ。
二人で他愛のない事を話しながら、笑いあって歩いた道。
「何も変わらないのね、此処は…」
道の途中にある、小さな臨海公園。
親友との時間が楽しくて、家に着くまでの時間を遅らせたくて、よくこの公園のベンチで話した。
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