SEED&Destiny 1

□あなたは早過ぎて、俺は遅過ぎた。
3ページ/35ページ


シンは慣れないコックピットで、メインキーを始動させた。

《フリーダム》──キラの機体。

シン自身の搭乗機《デスティニー》ではなく《フリーダム》を選んだのは理由がある。
《フリーダム》はどの宙域でも制止を受ける事がない、特別な機体だから。
それと、もう1つ。

彼の旅立ちには、自由の名を冠したこの機体こそが相応しいと思ったからだ。


──海へ。


そんな──彼の、恐らくは最期の希望を叶えるために。

「行きましょうか。キラさん」

シートベルトで固定された窮屈な体勢ながら、キラが笑って頷いたのを確認して、シンはペダルを踏み込んだ。

大戦の英雄たる《フリーダム》のパイロット──キラの状態は、近しい者たち以外には伏せられていた。
それがシンに幸いした。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ