SEED&Destiny 1
□──(まだ無題)
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「あ、ごめ……じゃない──すいません」
ごめん、と言いかけて言葉を改めたのは、襟章で先輩だとわかったからだ。
このアカデミーは年齢の幅が広く、先輩=年上とは限らないが、少年の落ち着いた雰囲気が年上を思わせた。
色々と問題児扱いされる事の多いシンだが、上下関係には意外としっかりけじめをつけている。
そのシンに、少年はふわりと笑いかけた。
「ううん、ぼくこそごめんね。邪魔しちゃったみたいで」
「い、いえ、そんな事は…」
それなら良かったけど、とあくまで穏やかに微笑む少年に曖昧に笑顔を返し、シンは課題に戻った。
だが、ほとんど打ち込みをしないうちに顔を上げる。
さっきまで静まり返っていた室内に、キーを叩く音が響いている。
それもかなり速い。
「……ん?」
シンの視線に気付いたのか、少年が手を止めて顔を上げた。
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