SEED&Destiny 1
□──(まだ無題)
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「ああ、クソッ」
コンピュータを前に、シン・アスカは1人悪態をついた。
広いコンピュータルームに彼以外の人影はなく、その声は空しく室内に響いて消える。
シンが1人きりでコンピュータと格闘しているのは、プログラミングの課題が1人だけ仕上がっていないからだ。
友人たちは手伝おうかと声をかけてくれたのだが、シンの生来の負けん気から断ってしまった。
プログラミングの苦手なシンには気の遠くなるような作業だとは、解っていたはずなのに。
「こんなのホントにできんのかよッ」
シンが投げやりな態度で、テキストをデスクに叩きつけた時、控えめな音とともに扉が開かれた。
「まだ終わってないって!」
シンは様子見と称してからかいに来た友人だと思い込み、扉の方を向かずに乱暴にそう言った。
だが、すぐに答えが返ってこないのを不審に思い、コンピュータの画面から顔を上げた。
そこにいたのは、戸惑いの表情を浮かべて立ち尽くす、知らない少年だった。
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