SEED&Destiny 1

□フレンチトーストの作り方
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隣で眠る人も、シンと同じく一糸も纏わない姿だろう。

だって──

シンの背中には、三本ほどの小さな引っかき傷ができているはずだ。
それがさっき走った痛みの正体──昨夜、支えを求めたキラが、思わず爪を立てた痕だ。


シンの名を呼ぶ、いつもより上擦った高い声。

シンを真っ直ぐに見つめたのは、いつも以上に潤んだ紫色の瞳。

滑らかな肌と、折れそうに細い肢体。
仰け反った喉元の白さ──そこにシンが口づけた時に、耳元に感じた喘ぎ混じりの微かな嬌声と、熱い吐息。

背中に感じた痛みが、間違いなく現実なのだと、シンに知らしめた。
痛みすら、彼によってもたらされたのだと思えば、いとおしい。

夢中でキラの名を呼んで、その肢体を掻き抱いた。


そんな昨夜の情景が鮮やかに思い出されて、シンは思わずベッドサイドにうずくまった。


シンはしばらくそうしていたが、何とか自分を落ち着かせると、脱ぎ散らかしたままになっていた服を拾い集めて身に着け、音を立てないようにそっと部屋を出た。



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