SEED&Destiny 1
□フレンチトーストの作り方
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布団の中に潜り込むように、下側に身体をずらして眠る人の、柔らかそうな茶褐色の髪だけが覗いている。
顔が見えていなくても、その人物にすぐに思い当たる。
その髪に他にない特徴があるというわけではなく──この貸し別荘にいるのは、シンを除けばたった一人しかいないからだ。
──キラさん…?
なぜキラがここにいるのかはわからないまでも、シンは彼を起こさないようにと、そっと布団から抜け出す。
この時間に起きるのはシンだけだからだ。
キラの休暇中、二人がこの別荘に滞在する間は、食事の用意はシンがする事になっている。
他でもない、シン自身がそう決めた。
身体を起こす時、背中に引き攣れるような痛みが走り、シンは僅かに顔をしかめた。
だが、次の瞬間その面にカッと朱が上る。
──思い出した。
何一つ纏っていない自分の身体を見下ろし、シンは叫び出しそうになる自分を抑え込んだ。
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