SEED&Destiny 1

□キラと言う人
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シン・アスカは任務完了の報告のために、直属の隊長の部屋の前に来ていた。

扉の開閉パネル上部のドアホンのボタンを押して、モニターに向かって敬礼する。

「隊長、任務が終了しましたので、報告に来ました」

──…

返ってくるのは沈黙ばかりで、シンは敬礼の手を下ろす。

「隊長──キラさん?」

シンの隊長であるキラ・ヤマトの今日のスケジュールは、書類整理終了次第フリー。
これまで丸1日オフでも出歩く事は稀で、ほとんど部屋で過ごしていた人だ。
特に今日はシンの報告を部屋で待っているはずなのだが──しばらく待ってみても応答はなく、シンは首を傾げる。
いつもならすぐに返答がある。

いや、一度だけ何度呼びかけても応答がなかった事があった。
その時は艦内を捜し回った挙げ句、見つからずに戻ってみれば、結局部屋で眠っていたのだった。

もしかすると今回もそうかもしれない。


キラの経歴はとても変わっている。

アカデミーを通らずに、いきなり隊長として部隊を任されたのも異例の事だが、そもそも軍属期間自体がとても短いのだという。

慣れない軍での暮らしに疲れが出てきたのだろう。

だが報告をしないわけにもいかない。
シンは少し申し訳ないような気持ちで開閉パネルに触れた。



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