SEED&Destiny 1

□海に、癒される
3ページ/22ページ



〈……〉

モニターの向こう側から、黙ったまま強い眼差しを向けてくる女性が、シンは苦手だった。

「自分が、護衛しますから──」

若くしてプラント最高評議会議長の立場にある彼女は、シンにホットラインの使用を許可した。
どう好意的に見ても、シンの事を気に入らないのは明らかで。
なのにホットラインを繋いだのは、偏にキラのためだろうと言うことは、シンにも解っている。

だから、今回初めてその通信ボタンを押した。

〈……〉

「……」

プラントだけに留まらず、広く愛される歌姫は、厳しい表情をシンに向ける。
シンの意図を探ろうとするように。

その眼差しからは、彼女はシンを許してはいないのだと知らしめる。



「あ、あの──」

〈解りました。キラにはわたくしからお話しますわ〉

「では…」

〈キラを休ませる事には、わたくしも同意しますわ〉

キラの名を口にする時だけ、彼女の表情が和らぐ。

〈シン・アスカ〉

「はい」

〈キラの護衛をあなたにお任せして、よいのですね?〉

「はい! この身に変えても、守ります!」

〈……シャトルと滞在先はこちらで用意しますわ。詳細は後日知らせます〉

忙しい身の上なのも確かだけれど、それだけではない、口を挟むのを許さないような口調で、彼女は一方的に通信を終えた。

モニターから彼女の姿が消えると、シンは大きく息をついて、椅子の背にだらりと身体を預けた。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ