SEED&Destiny 1

□かわいそうなクジラ
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「いえ…」

「始めは森に住んでたのに、やがて海に沈み、それから空へ飛び立つ、かわいそうなクジラ──そんな歌」

「……」

キラが簡単すぎるほどに要約した説明だからだろうか。
シンにはクジラの可哀想さが全く伝わってこない。

だいたい──歌詞は何かの比喩かもしれないため一概には言えないが──クジラが森に住んでいたなんて話、シンは知らない。

気になるのは『海に沈んだ』と言う表現だが、その後──『空へ飛び立つ』なんてフレーズには、むしろ希望的なものを感じてしまう。

「その歌が、どうかしたんですか?」

「案外的を得てるな、って思って」

「…え、っと……捕鯨反対か何かの歌、ですか…?」

シンが苦し紛れにそんな事を言ってみると、キラは一瞬目を見張ってから、微笑んだ。

「…かもね」


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