携帯獣赤成り代わ
□知
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「それで、なんの用?」
「もう大丈夫なのか?」
いつもみたいな自信過剰気味な表情じゃなくて、本当に心配している風な表情のグリーンはさっきまでの慌て具合が嘘みたいに落ち着いていた。グリーンが私以上に慌ててたから私は落ち着いたんだけど。
「大丈夫、大丈夫。平気だよ」
「けどよ、」
「女の子にはいろいろあるんだよ」
「はぁ?」
言葉を濁して微笑むとグリーンは何だかわからないって顔をしたけど、無理に追及はして来なかった。
「だから用件は?」
「あぁ、じいちゃんが」
「…博士が?」
何時も通りの対応を心掛けて、グリーンに用件を訊ねると、予想外の人物の名前が出てきて一瞬反応が遅れた。
「…あの紫色のポケモンについて調べたいから借りてていいか、だとさ」
紫色…エーフィのことだよね。今まで全然疑問にすら感じなかったのに、私は最初からエーフィの名前知ってた…新種のポケモンだから本当は知ってるハズがないのに。
「ヒイロ?」
「なんでもない。じゃああの子グリーンに預けるから。あと出掛けてくる」
グリーン返事をしてすぐに窓からリザードンで飛び出した。今までの私の些細な言動が、全部決まっていたことなのに、全部おかしい気がして、吐き気がする。
「ぴか…」
「心配かけてごめんね、ピカチュウ…」
実は最初から傍にいたピカチュウを撫でていると、ふと過った疑問に心臓が凍る様な感覚がした。
“レッド”の手持ちってなんだったけ?
2012/02/09