携帯獣赤成り代わ

□知
1ページ/1ページ

「それで、なんの用?」

「もう大丈夫なのか?」



いつもみたいな自信過剰気味な表情じゃなくて、本当に心配している風な表情のグリーンはさっきまでの慌て具合が嘘みたいに落ち着いていた。グリーンが私以上に慌ててたから私は落ち着いたんだけど。



「大丈夫、大丈夫。平気だよ」

「けどよ、」

「女の子にはいろいろあるんだよ」

「はぁ?」



言葉を濁して微笑むとグリーンは何だかわからないって顔をしたけど、無理に追及はして来なかった。


「だから用件は?」

「あぁ、じいちゃんが」

「…博士が?」



何時も通りの対応を心掛けて、グリーンに用件を訊ねると、予想外の人物の名前が出てきて一瞬反応が遅れた。



「…あの紫色のポケモンについて調べたいから借りてていいか、だとさ」



紫色…エーフィのことだよね。今まで全然疑問にすら感じなかったのに、私は最初からエーフィの名前知ってた…新種のポケモンだから本当は知ってるハズがないのに。



「ヒイロ?」

「なんでもない。じゃああの子グリーンに預けるから。あと出掛けてくる」



グリーン返事をしてすぐに窓からリザードンで飛び出した。今までの私の些細な言動が、全部決まっていたことなのに、全部おかしい気がして、吐き気がする。



「ぴか…」

「心配かけてごめんね、ピカチュウ…」



実は最初から傍にいたピカチュウを撫でていると、ふと過った疑問に心臓が凍る様な感覚がした。



“レッド”の手持ちってなんだったけ?










2012/02/09
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ