携帯獣赤成り代わ
□心
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自覚したら、せき止められてた水が流れるみたいに色んなことを思い出した。思い出したって表現が合っているのかは分からないけど、確かにあの人は私だった。私は私のハズなのに私じゃなくて…もう訳が分からない。
ただ私がわかることは、私は“レッド”じゃなくて、私なのに、私が選んで歩いてきた道はそう強制されたみたいに“レッド”と同じだった。グリーンと幼なじみでライバルってことも、ロケット団を壊滅させたことも、ポケモンリーグでチャンピオンになったグリーンを倒してチャンピオンになったことも、今一緒にいるポケモンたちも、全部、全部。
私が自分で決めたと思っていたことも、本当は決められていたシナリオで、じゃあ私はなんで生きてるの?今、なんでこんなこと考えてるてるの?
涙が次々に溢れて止まらなくて、自分でも酷い顔してると分かってもどうしようもなくて、声も上げずに泣き続けた。
「おーい、ヒイロ?じいちゃんが…ってどうしたんだよ!」
やってきたグリーンはかなり慌ててた。私あんまり泣かなかったし、珍しいからね。でも、そう分かっても、これも決まっていたことでシステムなんじゃないかって疑いを捨てられない。グリーンが私を心配するのも幼なじみだから当然なのに、私がグリーンの立場でも絶対心配するのに…。
ずっと一緒にいた幼なじみで、ライバルなのに、信頼…してたと思うのに信じられなかった。
***
自分が分からない、女子高生だった記憶の「私」も、グリーンの幼なじみの「私」も信用できなくて、知っていたハズなのに何を信じたらいいか分からない疑心暗鬼。
精神年齢高いならというか、幼少時から記憶あるなら受け入れられるかもだけど、ある程度の年齢になってからは辛いんじゃないかな?今まで生きてきたのを否定されるようで。それか自分と記憶の区切りをきちんと付けられればなんとか大丈夫そう。もっと年とってたら平気だったんだろうな。
2012/01/17