純愛人魚

□残酷な優しさ
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「ホントに平和になったよな…」


とある昼下がり、平助はしみじみとつぶやいた。


「そうだね、私はあれからほとんど郷に籠もっていたから戦があったとしてもあんまり分からないんだけどね」

「お前のとこって閉鎖的だよな」



多分、二百年のほとんどを郷で過ごしたと思う、っと言った私に平助は多少げんなりした様子で言った


「それは平助のとこもじゃない?」

「いや、俺んとこのがまだマシだって」

「それはそうだよ」


私も平助も答えが解っていたことに小さく笑い合った。お互い平均寿命が高い所だから、閉鎖的になるのも当然で…、特に私たち一族は普通の人間からすれば化け物みたいなものだし…



「ねぇ、今度はついていっていい?」

「桃香?」


怪訝な顔をする平助に多分下手な微笑みをつくる


「私はね、私が永い寿命を持つ一族に生まれたことは、後悔してないの。だって私が九艘じゃなかったら平助な会えなかったかもしれないし、それに今会うことも出来なかった。だからその点では、私が九艘に生まれたことを感謝してる。だけどね、もう独りになりたくないから…我儘って分かってるけど、今度平助が逝く時に私もついていきたいんだ。」



こんなこと言ったら平助は怒るだろうけど、私は平助と生きたい(逝きたい)んだ。また残されるなら、一緒に巡りたい。何百年も死んだように生きるなら、綺麗に終わらせて、輪廻の果ての再会を望みたい。私は平助が居ないと笑い方も忘れてしまうから…



「…オレはさ、お前に生きててほしい」



それは予想通りで、優しく、私にとっては残酷過ぎる言葉…


「桃香にはさ、子供とか孫とか曾孫とかに囲まれて、最後まで生きてほしい。それで笑って逝ってほしい。」


多分その頃にはオレは傍にはいれないけど。そういって笑った平助は普段の子供っぽさが失せてしまっていて、ただ切なかった。



「私も平助もまだ死なないでしょ。もし死んだら許さないよ。まだ正式に夫婦になった訳でもないんだから。」

「分かってるって」

「あと、子供は女の子二人に男の子一人がほしい。」

「おまっ、まだ早いだろっ!」


私の最後の一言に平助は、真っ赤になって慌てた。多分私も赤い。


「今すぐとは言ってないよ。将来設計。」


今度は自然に笑えた。













絶対にまた残されるのは分かってる。でも、遠くない将来、この胎内(はら)に孕む平助との子供もきっと大切だと思える。それならば、孤独を感じても一人にはならないだろう。



…だから私は、平助の願い通りに生きて逝こう。平助は優しいから、きっと向こうで待っててくれるから。













***
夢主は病んでるけど、ヤンデレにはならない。平助がプラスなので引っ張ってもらってる、平助が沈んだ時は、ひっぱれる。だけど二人して沈むとなかなか浮上できない状態。けれどそれを誰も知らないという状況


2011/04/25
 

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