純愛人魚

□許婚
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「悪ぃ桃香待たせたか?……て確か紀田だよな?」


平助は私に向けた視線を私と一緒にいた二人に移して、そのうちの黒髪じゃない方に声をかけた。


「ああ、お前は設楽だったよな。」


平助は設楽ってところで一瞬躊躇った。……まだ、設楽って姓に慣れないみたい。私は変わらないからそういう事はよく分からないけど…



「平助は姓で呼ばれるのあんまり好きではないので、よろしければ名前で呼んでもらえますか?」



私も平助が藤堂以外なのはなれませんから。



「別にいいけど。てかお前、桐原さんとどういう関係だ!」


名前呼びだったしっ!、と平助を指差す紀田君はどこか目が爛々と光っていた。


「いや、あのな…」

「許婚、ですよ?」


何故か躊躇った平助に変わって、私の言った言葉に、二人の空気が固まった。


「えっと、許婚って、婚約者ってこと、だよね…?」


竜ヶ峰君は多少どもって目を泳がせながら私に訊ねた。婚約者…あぁ。


「一族公認で、将来を誓い合った仲ということです。」



色々と微妙な所はありますが、長(おさ)は認めてますし。



「ちょ、おい、紀田っ!」



気が付くと平助は石化から復活した紀田君にもみくちゃにされていた。竜ヶ峰君の方はまだ、固まっている。



「私たちは用事がありますので、そろそろ失礼させていただきますね。」



平助が紀田君から逃れたところを見計らって私たちは学校を離れた。












「許婚って…」

「そういうのって、まだあるんだなー」




私は彼らがそう呟いていたことを知らない。












***
やっとできたし。正臣入れると正臣のセリフばっかり増えるし。ちなみに許婚を普通だって考えてる桃香ちゃん。平助は普通じゃないのが分かってるから。濁しましたが、結局正臣にもみくちゃにされるという悲劇。ちなみに同居中。またばれたらもみくちゃですね

2011/04/23
 

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