携帯獣赤成り代わ
□芽生えていた感情
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オレには幼なじみがいる。
そいつは女の癖に犯罪組織のアジトに殴り込んで壊滅させちまう様な規格外の奴。アイツはオレよりも小さくて直ぐに折れそうな細い体で力強く前に進んでいった。
ずっとそばにいて、アイツよりも前に居たはずのオレを越えて、前へ前へと進んで行く。
正直嫉ましいとも思ったし、憧れもした。けど、それ以上にオレはアイツと肩を並べて歩きたいと思った。ヒイロはアイツに敗れたオレを変わらずにライバルと呼ぶ。アイツがライバルと呼ぶのはオレだけだったし、これからもオレ以外には呼ばせたくない。
オレは思っていた以上にヒイロに執着していた…気が付かなかっただけで、オレは昔からずっと、ヒイロのことが好きなんだと自覚した。
だから追い越された、ヒイロの隣を歩けるように、前へ向かって走って行くヒイロを追い越そう。昔からオレたちは抜いたり抜かされたりしてたんだから、今更変わる必要はないだろ?
オレはお前を越えるのを諦める気も、お前を諦めるつもりもねぇし…ヒイロはオレが性格悪いのも、諦めが悪いのも全部知ってんだろ。だから、覚悟しとけ。
直ぐに全部引っ括めて捕まえてやるよ。
2012/1/16