短文
□記憶のカケラ
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「懐かしいわね―,この公園」
「ほんと。
昔よく遊んだわよね」
今日は久しぶりの休日。
ちょうど7班と10班の休みが重なったため,サクラといのは二人で買い物へ。
甘栗甘で一息ついていた時に,昔話で盛り上がった。
その後,成り行きで公園に寄ってみたのだ。
二人はブランコに座った。
昔大好きだったブランコも,今ではすっかり小さくなってしまった。
「私…,まだアンタと会ってなかった頃,よくここに座って一人で泣いてた…」
サクラが,思い出したように話し始める。
「みんなに『デコリーン』って苛められて…。
この公園,私たちが遊ぶようになるまであんまり人来なかったでしょ?
だから,いつも決まってここに来てた…」
「アンタ,昔っから泣き虫だもんね―」
「…うっさいわね!!」
「でも,私と会った時はここじゃなかったじゃない」
「そう。
約束したのよ」
「約束―?
誰と?」
「知らない男の子と。
もう顔は覚えてないけど,太陽みたいな子だった」
「え―,何よそれ」
「いいから,私の話聞きなさいよ」
サクラは,遠い昔の淡い思い出を話し出した。