短文
□星空の下
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オレが修業に出てから,もうすぐ1年になる。
エロ仙人は相変わらず,忍の三禁とかいうのを破ってばっかだけど,体術の特訓や幻術返しの修業,それに,大玉螺旋丸の修業を見てもらって,オレってば強くなってる気がする。
今は春だから,いろんなとこでサクラが咲いてる。
それを見るたびに思い出すんだ。
サクラちゃんのことを。
今頃サクラちゃんも,綱手のばあちゃんにいろいろ教わってんだろうな。
サクラちゃんにもらった医療パックは,もうなくなっちまった。
中身が空っぽになって,初めて気づいた。
ポーチの奥の方に,お守りが縫いつけてあったことに。
すっげー嬉しかった。
オレのこと,心配してくれてるんだって。
オレの記憶の中のサクラちゃんは,泣いてることが多い。
オレは,サクラちゃんには笑っていてほしいんだってば。
もう,サクラちゃんを泣かせたくね―んだってばよ。
だから,サクラちゃんとの約束を守るためにも,もっともっと強くならなきゃなんね―って思った。
今夜は,月も星もすっげーきれいだってばよ。
サクラちゃんも見てるかな。
それに,アイツも。
オレたちはきっと,離れてても繋がってる。
この星空を見てると,そんな気がすんだ。
――強くなるから
今,サクラちゃんの声が聞こえた気がした。
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