Novel

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手を伸ばした先にあるのはいつだって自爆装置。手榴弾。
英雄は俺じゃない誰かを重ねてみるから、血にまみれた俺を見て悲痛な顔をする。
目が金色の俺じゃなくて、チョコチップクッキーが好きなあいつを見ている。

「やめたまえ」

眉間に皺が寄っている。嫌がっている。なのに、抵抗しない。
壁に縫い付けて乱暴に口づけをすると、息が苦しくなったのか酸素を求めて口を開いた。
舌をねじ込んで口内を犯す。歯列をなぞって、舌を絡めて唾液を交換。
その勢いで右手を服の中に潜り込ませると流石に抵抗を始めた。

「やめたまえ・・・っ」

先ほどの口付けで上気した頬、いやいやと首をふる。
こいつが抵抗しないのが俺が大嫌いな平和ボケしたあいつのおかげなら、俺は生まれてはじめてあいつに薄汚い感謝をするだろう。
所詮、肉体は共有したってこいつらの間には割り込めないのだから。
多少悪戯したって許してくれるだろう?

俺を殴れないのをいい事にめちゃくちゃにした。こんな事自滅行為だと知っているのだ。
こいつの中の俺という存在がどんどん黒く染まっていく行為。嫌悪が深まり、その代りに俺がつけた傷跡が広がる。
それだけでいい。それだけでいい。お前はいつだって俺を最後に殺してくれる。
俺はあいつの中でしか生きられないちっぽけな存在だって事を教えてくれるのはこいつ。
好きだとか、嫌いだとかは関係ない。ただ俺の事を覚えてさえいれば。

すべてまっさらに戻して、また俺は呼ばれるまで深く眠りにつく。
それまでこいつらが何してようがナニしてようが俺には関係ない事なのだから、ビビって逃げたあいつが狸寝入りしてる間に俺がナニしたって関係ないだろう。

「君は、かわいそうな・・、やつだ」
「そうかあ?割と楽しんでるぜ」

愛の手榴弾
(ぶちまけてやるよ)


元拍手だったよ!


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